EC40〜50名・画像チーム15名。「外に出さない撮影」を社内でさばく

―まず御社の体制を教えてください。
EC全体だと40〜50名ぐらいの規模になっていて、その中で撮影だったり画像だったりというところでいくと、私のチームで15名ぐらいです。
撮影自体は外部の撮影スタジオに出していて、戻ってきた画像は基本的に完成形に近い状態です。ただ、自分たちで撮影する画像もあるので、そこはPhotoshopで手を動かす作業が発生していました。
―その「社内で撮る分」はどれくらいの量ですか?
外部に渡さないような、点数が少なくて自分たちで撮ってしまう撮影なんですが、1回の撮影量が多いんです。物撮りも置き撮りもあって、社内でやることなので自分たちで手を動かすのは大変。だったらAIの自動ツールでやりたい、というニーズに今回めちゃくちゃぴったりはまりました。
枚数でいうと波があって、月に2,000〜3,000枚のときもあれば、1,000枚いかないときもある、という感じです。
―出力先や画像仕様は?
基本はZOZOの1,500/1,800という仕様一式で、自社サイトもずっと同じ仕様の画像を使っています。外部モールはシステム連携時に自動でトリミングがかかるので、そこは触らない。
むしろ別途トリミングしたくなるのはInstagram用ですね。プラットフォームごとというより、SNS向けに切り直したい、という使い方が多いです。
トリミングだけで1枚100円・納期1週間。一括処理は「斜め・横ずれ」で使えなかった

―導入前は、誰がトリミングをしていましたか?
自社で撮ったものも含めて、外部のレタッチャーさんに投げていました。色合わせとトリミングをセットで頼むと1枚あたり100円ぐらいになってしまって。トリミングだけ依頼したくても、「自分たちでもできるけど時間がないから外に出している」という、ふわふわした状態がずっと続いていました。
―Photoshopの一括処理で自動化はできなかったのですか?
やってはみたんです。Photoshopで一括処理を組んで自動でバーッとトリミングしようとしても、どうしても横にずれたり、斜めだったり、取り方によって全然思い通りにならない。結局、外に出すしかなかった。そのコストがもったいないな、とずっと思っていました。
―納期や品質のばらつきはどうでしたか?
外部に出すと、送って・戻ってきて・チェックして、で1週間ぐらいはかかっていました。機会損失はあったよな、と思います。
品質も、人がやる以上ある程度のばらつきは出ます。最後の方はこちらから「ここに揃えて全部やってください」とガイドを出していたのですが、そうするとより時間がかかる。ばらつきがNGのブランドだと、それでも毎回お願いするしかありませんでした。
決め手は「時間」。透過・影は各社が撤退、トリミングは意外と空白だった
―数あるツールの中で、導入の決め手は?
一番は時間ですね。お金もそうですが、時間。あとは正直、私自身がAIの画像処理にかなり興味があった、というのも大きいです。
画像処理のAIって、途中でギブアップしていく会社さんが多いんです。私が取引していたところも、透過や影、白抜きあたりに取り組んでいたんですが、「他社さんとルールがありすぎて集約できない」「うまくいかないね」となって、結局その界隈をやめていく。
そんな中で、トリミングって、ありそうで意外となかったんですよね。「どういうこと?」というのが当時の率直な印象でした。
「選んでから加工」が「加工してから選ぶ」へ。手順が逆転した

―導入後、リードタイムはどう変わりましたか?
最速だと、撮ったその日にオールデータを全部ぶち込んで、トリミングされた画像からセレクトする、という流れにできました。これまでとは手順そのものが逆になったんです。
―「手順が逆になった」というのを、もう少し詳しく。
これまでのフローは、撮影が終わったらオールデータをブランド担当や上司に渡して、なんとなくセレクトしてもらって、戻ってきたものをトリミングして、もう一回戻す、というプロセスでした。
今は逆で、撮影が終わったものを渡す前に全部トリミングして、基本もう完成画像にしてしまう。そのオールデータを投げられるので、行き帰りの手間が一個まるごと省ける。「もう完成しているので、選んだものはそのままアップして大丈夫ですよ」という言い方ができるんです。
向こうは全部見られるし、どれを選んでもいい。「間違っていたからこっちに変えたい」と言われても、完成画像が自分の手元にあるので、それがすごく楽になりました。
―外注費の変化は?
社内で撮る分がそこまで多いわけではないので全部ではありませんが、外注費でいうと月10万円ぐらいは浮いたかな、という感覚です。
余白をスライダーで決めて“残せる”。エンジニアと「言葉が合わない」問題が消えた

―主にどのプリセットを使っていますか?
顔ありのモデルプリセットが多くて、全身と上半身のトリミングが中心です。今やっているブランドが、商品の詳細をそこまで細かく見せないブランドなので、商品単体のトリミングはあまり使っていません。
―使ってみて「これは良い」と感じた機能は?
他社のツールだと、AIに切らせるための「チェック項目をください」と言われるんです。モデル画像なら「頭上は何ピクセル空ける」、上半身なら「指先から何ピクセル」、置き画像なら「襟から何ピクセル」……という数字を、こちらが全部測って指示しなければいけない。これがめんどくさいし、そもそも分からない。
結局、エンジニアさんと私とで言葉が合わないんですよ。「なんとなく分かってよ」と言いたいんだけど、エンジニア側は「なんとなく」では動けない。そこがずっとうまくはまりませんでした。
スマートトリミングAIは、そこをスライダーで選べる画面があるんです。モデルなら「腰からこれぐらい」、物撮りなら「余白は全体の何パーセント」というのを、元画像と見比べながら何回かチェックして、「だいたいこんなもんだろう」というところまで自分で決められる。
しかも、それをプリセットに残せて、自分で選べる。トリミングの画面そのものより、このプリセット設定を残せてスライダーで確認できるところが、すごくいい機能だなと思いました。


「ワークフローのもう一つのカテゴリー」── 改善要望と今後への期待
―御社にとって、スマートトリミングAIはどんな存在ですか?
ありきたりな言い方になってしまいますが、もうなくてはならない存在です。私自身のワークフローの中で、もう一つのカテゴリーになっている感覚ですね。
―逆に、まだ物足りないところや改善要望は?
まず一度に処理できる枚数です。最近150枚まで増えていて「お、増えてる」となったんですが、理想を言えば、千枚ぐらいボーンと入れたら「これは上半身」「これはトップス」と自動判別して、このプリセットで全部切ってくれるところまでいけたら嬉しいです。
あとは足元の判別。一歩踏み出して右足だけ前に出していると、足が切れてしまうことがあって、そこはやっぱり気になります。
編集部注: 一括アップロードの上限拡大と、足元・全身の検出精度の向上は、いずれも現在進行形で開発を進めている重点テーマです。「傾きを自動で補正してほしい」というご要望には、ヒアリング時点ですでに自動水平補正機能をリリース済み(肩や目の位置から水平を推定して補正します)。トリミング後にロゴ・テキストを一括で重ねるロゴ・テキスト挿入も上位プランで提供済みで、T様にはコピーライト表記などでの活用を見込んでいます。撮影で見切れた部分をAIが自然に補う背景拡張は現在開発を進めています。
トリミング後の画像に、ブランドロゴやタイトル・コピーライト表記などのテキストを乗せられる機能です。位置やフォントを一度決めれば、アップロードした全カットに同じ体裁で一括適用。1枚ずつ画像編集ソフトで文字入れする手間がなくなります。

装飾セットを一度作って保存しておけば、処理時に選ぶだけで全画像・全サイズに同じ位置で自動追加される。

活用例:ブランド表記/セール・キャンペーン告知/新商品・価格の訴求/コピーライト保護(透かし)。
どんな会社に向いていると思いますか?

―他のECに勧めるとしたら、どんな企業ですか?
経験でいうと、海外サイトは向いていると思います。海外はハイブランドのサイトでも、白バックで前・横・後ろ、寸立ちで、サイズも決まっていて、なんなら顔切りまで決まっている。決まったレギュレーションに沿って撮影するので、そこにはすごくはまります。
日本だとモール系、特に百貨店系。ガチガチのルールがあって、誰がやっても同じになる運用は向いている。ユニクロさんのような世界観もそうかもしれません。
逆に、いろんなモデルさんで、いろんな見せ方で「ちょっとかっこよくトリミングしたい」という方向になると、まだ「惜しい」と感じる部分もあります。そこも詰まっていけば、もっと使える幅が広がると思います。
