ノウハウ

アパレルの商品画像は生成AIでどこまで作れる?服の写真1枚から15パターンを検証

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スマートトリミングAIを開発している株式会社セントラルオフィスです。

私たちはアパレルの商品画像の切り抜きツールを作っています。

そのため、生成AIでモデル着用画像や色違いを作る工程とも、隣り合う場面が多くあります。

では実際のところ、平置きの商品写真1枚から、生成AIでどこまでの商品画像が作れるのでしょうか。

本記事では、サンプルの服2着を使って15パターンを作成し、何が再現できて、どこが崩れたのかを検証しました。

検証の結論

そのまま使えたのは背景・色・ハンガー・重ね着。襟の形、ボーダーの本数、モデルの同一性、後ろ姿は崩れた・要確認
検証の結論を1枚にまとめたもの
  • モデル着用・重ね着・ハンガー掛け・背景変更・色違いは、いずれも商品画像として違和感のない仕上がりになりました
  • 一方で、指示していない部分は一般的な形に置き換わる傾向がありました(ボートネックが丸首になる、など)
  • 指示した部分でも、ボーダーの本数のような細かい数は外れることがありました
  • 正面の写真しか渡していない服でも、後ろ姿をそれらしく生成します。実物と一致する保証はありません
  • 編み目に寄ったクローズアップでは、細い糸の編み地が太い糸の編み地に変わりました。写っていない素材感も推測で作られます

検証の条件

マスタードのカーディガンと、生成りに紺ボーダーのTシャツの平置き写真
検証に使った元画像。どちらも実在しない、AIで作成したサンプルの服です

検証には、マスタードのカーディガンとボーダーTシャツの2着を使いました。

どちらも実在の商品ではなく、この検証のためにAIで作成したものです。

生成後に崩れた箇所が分かるよう、それぞれに確認用の特徴を持たせています。

  • カーディガン:ボタン5個、左のポケット、胸の「SMTR」の刺繍
  • Tシャツ:紺のボーダー11本、無地の袖、裾の赤いタグ、横に広いボートネック

生成には OpenAI Codex CLI 経由の画像生成(gpt-image-2)を使い、各パターンを1回ずつ実行しました(2026年9月24日・26日)。

結果は元画像と並べて目視で確認し、ボーダーの本数などは画素を数えて確認しています。

検証結果の一覧

15パターンの生成結果を、そのまま使えた5・一部確認5・そのままは使えない5に分けて並べた一覧
15パターンの生成結果。下の表と同じ内容です
試したこと結果気になった点
男性モデルに着せる○襟が丸首に変わった
同じ指示で2回生成△2回で別人になった
モデル画像を渡して着せる○ボーダーが11本→10本
重ね着させる◎特になし
身長の違う2人に着せる○実寸に基づくサイズ感ではない
背景を変える◎特になし
色を変える◎特になし
ハンガーに掛ける◎特になし
文字入りSNS画像にする◎特になし
しわを足す○特になし
ゴーストマネキン風にする△襟が丸首に変わった
着用写真から平置きに戻す△丸首のまま戻らなかった
後ろ姿を作る△実物の背面は反映できない
編み目に寄る△生地の厚みが別物になった
商品説明文を書く○確かめようのない形容が入る

以下、パターンごとに結果を紹介します。

モデル着用画像を作る

男性モデルに着せる

最初に、ボーダーTシャツを男性モデルに着せました。

指示には「ボーダーの本数・袖・裾のタグは元と同じに」と書いています。

左が元のボーダーTシャツ、右が男性モデルに着せた生成結果
見てほしいのはボーダー・袖・裾のタグ

ボーダーは11本で、無地の袖と赤いタグも再現されました。

一方、襟元を拡大すると違いがありました。

襟元の拡大。左は元のボートネック、右は生成結果のクルーネック
襟元を同じ範囲で拡大

ボートネックが丸首(クルーネック)に変わっています。

指示に書いた部分は守られ、書かなかった部分は一般的な形に寄せられる。

この傾向は、ほかのパターンでも繰り返し見られました。

同じ指示で2回生成する

カーディガンを女性モデルに着せる指示を、同じ文面で2回実行しました。

左が元のカーディガン、中央と右が同じ指示で2回生成したモデル着用画像
見てほしいのはボタン・ポケット・刺繍と、モデルの顔

ボタン5個・ポケット・刺繍は2回とも再現されました。

ただし、モデルの顔や髪型は2回で別人になっています。

商品ページで同じモデルに統一したい場合は、この方法では難しいことが分かります。

モデル画像を渡して「この人に着せて」と指示する

そこで、1回目に生成したモデル画像も一緒に渡し、「この人にボーダーTシャツを着せて」と指示しました。

襟がボートネックであることも指示に書いています。

左がカーディガンを着たモデル、中央がボーダーTシャツ、右が同じモデルにボーダーTシャツを着せた生成結果
見てほしいのは顔・髪型と、襟の形

顔・髪型・白いパンツまで同じモデルのまま生成されました。

襟も、指示どおりボートネックが保たれています。

ただし、ボーダーは11本から10本に減っていました。

「本数は同じに」と指示していても、細かい数は外れることがあります。

重ね着させる

カーディガンとTシャツの2枚を渡し、「カーディガンを前を開けて羽織り、中にボーダーTシャツ」と指示しました。

左からカーディガン、ボーダーTシャツ、2着を重ね着したモデルの生成結果
見てほしいのはボタン・ポケット・刺繍

今回のパターンの中でも自然な仕上がりでした。

ボタン・ポケット・刺繍も残っています。

平置きしか撮影していない商品でも、コーディネート例の画像を用意できる可能性があります。

身長の違う2人に着せる

「同じMサイズを、身長150cmと172cmの2人が着ている写真」と指示しました。

左が元のカーディガン、右が身長の違う2人の女性モデルが同じカーディガンを着た生成結果
見てほしいのは袖の長さの違い

小柄なモデルでは袖が手の甲まで届いており、サイズ感の違いは画像で伝わります。

ただし、これは実寸から計算したものではなく、AIが推測したサイズ感です。

サイズ表の代わりには使えません。

置き方・背景を変える

背景と色を変える

服はそのままで背景をフローリングに変える指示と、色をネイビーに変える指示を、それぞれ実行しました。

左から元のカーディガン、背景をフローリングに変えた画像、色をネイビーに変えた画像
見てほしいのは服の輪郭とディテール

15パターンの中で、最も安定していたのがこの2つです。

色違いでは、服の輪郭が元画像と2px以内で重なり、形はほぼそのまま保たれていました。

ハンガーに掛ける

「木のハンガーに掛けて、白い壁の前に」と指示しました。

左が元のボーダーTシャツ、右が木のハンガーに掛けた生成結果
見てほしいのは肩の落ち方と赤いタグ

肩の落ち方が自然で、撮影した写真と見分けがつきにくい仕上がりです。

指示に含めた赤いタグとボートネックも保たれました。

文字入りのSNS画像にする

「木の床に平置きし、上部に大きく『秋の新作 入荷しました』と入れて」と指示しました。

Instagram 投稿を想定した正方形です。

左が元のカーディガン、右が木の床に置いて上部に「秋の新作 入荷しました」と入れた生成結果
見てほしいのは文字とボタンの数

日本語の文字は、1文字も崩れずに入りました。

ボタン5個、左下のポケット、胸のロゴ刺繍も元のままです。

文字の書体は指定しなかったため、明朝体に近い書体が選ばれました。

書体をブランドに合わせたい場合は、指示に書体まで含める必要があります。

しわを足す

反対に、「雑に置いてしわだらけになった状態にして」と指示し、無造作に置いた雰囲気が出せるかも試しました。

左が元のボーダーTシャツ、右がしわだらけにした生成結果
見てほしいのはボーダーの曲がり方

ボーダーがしわに沿って自然に曲がっています。

しわを足せることから、しわを消す補正にも応用できそうです。

ゴーストマネキン風にする

人が着ているような立体感を出しつつ、人は写さない「ゴーストマネキン風」に仕上げるよう指示しました。

左が元のボーダーTシャツ、右がゴーストマネキン風に立体化した生成結果
見てほしいのは立体感と襟の形

立体感は出せましたが、ここでも襟が丸首に変わっています。

着用写真から平置きに戻す

逆方向の変換も試しました。

先ほどの男性モデルの写真から、「Tシャツだけを取り出して平置きに」と指示しています。

左が男性モデルの着用写真、中央が平置きに戻した生成結果、右が本来の元画像
見てほしいのは襟の形

平置きの画像としては自然ですが、襟は丸首のままでした。

一度変わった部分は、元に戻す変換をしても復元されません。

生成を重ねるほど、変化は引き継がれていきます。

写っていない部分を作る

後ろ姿を作る

正面の写真だけを渡して、「後ろ姿の平置き画像を作って」と指示しました。

左が元のカーディガンの正面、右が生成AIが作った背面
見てほしいのは背中のデザイン

背面の画像は問題なく生成されました。

ただし、これはAIが推測した背面です。

実物の背中に切り替えやロゴがあっても、正面の写真からは分かりません。

背面の商品画像として使うことはできません。

編み目に寄る

素材感を伝えるクローズアップも試しました。

「編み目が見えるくらい寄って、ボタン1個とその周りの編み地が写るように」と指示しています。

左が元のカーディガン、右が生成AIが作ったボタンまわりの編み目のクローズアップ
見てほしいのは編み目の太さ

写真としての質は高く、ボタンの色や4つ穴の形も元と同じです。

ただし、生地は別物になりました。

元のカーディガンは、編み目がほとんど見えない細い糸の編み地です。

生成された画像では、太い糸で編んだ、ざっくりとした編み地に変わっています。

寄った写真で見える編み目は元の写真に写っていないため、AIが推測で作ったものです。

素材感は、購入前に最も確認されやすい情報の一つです。

クローズアップは実物を撮影し、生成AIには任せない方が安全です。

商品説明文を書く

商品名・色・素材・ボタン数・寸法だけを渡して、商品説明文を2回生成しました。

渡していない洗濯方法や原産国は、2回とも書かれませんでした。

事実の追加は抑えられています。

一方で、「やわらかな綿混素材」「顔まわりをすっきり見せる」のように、確認できない形容は加えられていました。

下書きとしては十分使えるため、形容の部分を担当者が見直す運用が現実的です。

検証から分かったこと

指示しない所はよくある形になる、指示しても細かい数はずれる、写っていない所は推測で作られる、の3つの傾向
15パターンから見えた3つの傾向

15パターンの結果から、次の3つの傾向が見えました。

  1. 指示していない部分は、一般的な形に置き換わる:襟の形を指示しなかった2回は、2回とも丸首になりました
  2. 指示した部分でも、細かい数は外れることがある:ボーダーの本数は、指示しても11本が10本になりました
  3. 写っていない部分は、推測で補われる:背面・サイズ感・編み目は、それらしく作られますが実物の情報ではありません

崩れてほしくない特徴は、すべて指示に書くこと。

そのうえで、生成結果を元の写真と並べて確認すること。

この2点を運用に組み込めば、商品画像の制作にも十分活用できると考えています。

商品ページで使う前の注意点

襟・柄・ボタンの数、写っていない部分、販売先のAI画像ルールの3点を確認するチェックリスト
商品ページに載せる前に確認したい3点

実物と異なる見せ方で商品を良く見せると、景品表示法の「優良誤認」にあたるおそれがあります。

今回のように襟の形が変わった画像を、そのまま商品写真として掲載するのは避けるべきです。

また、販売チャネルによってはAI生成画像にルールがあります。

たとえばTikTok Shopは、AI生成コンテンツの解説ページを日本語で公開しています。

詳しくはTikTok Shop 商品画像規定ガイドにまとめています。

他社の生成AI活用事例

アパレル企業でも、商品画像への生成AIの活用が進んでいます。

  • Zalando:生成AIで制作期間を「6〜8週間から数日」に短縮。元画像と色や作りを自動で照合する仕組みも運用しています(公式・2026-08)
  • H&M:実在モデル本人の「デジタルツイン」を使って広告を制作しています(公式・2025-07)
  • 三越伊勢丹:オンラインストアで、3ブランド専用のAIモデルを起用しています(AI model社・2024-02)
  • しまむら:AIモデル「瑠菜」を新店のポスターに起用しています(タキヒヨー)

専用のモデルを用意する、元画像との照合を仕組み化する、といった取り組みは、今回の検証で見えた「モデルが別人になる」「襟の形が変わる」といった課題への対策と重なります。

まとめ

平置きの商品写真1枚からでも、生成AIでモデル着用・重ね着・背景変更・色違いなどの商品画像を作れることが分かりました。

一方で、指示していない部分の変化や、写っていない部分の推測は避けられません。

生成した画像を商品ページに使う際は、元の写真との照合を必ず工程に入れることをおすすめします。

よくある質問

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