服の平置き撮影のコツはどれが効く?背景・影・光・カメラの傾きを1つずつ変えて検証

スマートトリミングAIを開発している株式会社セントラルオフィスです。
服の平置き撮影のコツを1つずつ変えて測ったところ、影響がいちばん大きかったのはカメラの傾きで、10度傾けるだけで肩幅と裾幅の比が13%変わりました。
背景の色は、切り抜きに使う道具しだいでした。
色の差で背景を選ぶ方法では、服に近い色の紙にすると服がほぼ丸ごと消えました。
AIの背景除去(BiRefNet)では、どの背景でもずれが1px以下でした。
平置き撮影の解説記事は「真上から撮る」「背景は単色に」「影を出さない」と並べて書くものがほとんどで、どれがどれだけ効くかは書かれていません。
私たちは撮影後の画像を扱う道具を作っているので、撮り方の違いが後の工程でどれだけ差になるかを数字で確かめることにしました。
検証の結論

- カメラの傾きがいちばん効きました。 5度で肩÷裾の比が7%、10度で13%変わります。スマートフォンの2倍(52mm相当)に切り替えて倍の距離から撮ると、同じ傾きでもずれは約半分になりました
- 背景色が効くかどうかは、切り抜く道具で決まりました。 色の差で選ぶ方法は、服に近い色の背景で失敗しました。AIの背景除去(BiRefNet)は、試した16条件すべてでずれが1px以下でした
- 生成りのように白に近い服を白い紙に置くと、AIのモデルでも1種類(isnet)は服の半分以上を取りこぼしました
- 強い影は、色で選ぶ方法では影まで服として切り抜かれました(約13px)。光のむらは切り抜きより色に効き、服の左右で色差 ΔE 9.4 の差が出ました
検証の条件

素材は、画像生成AIで作ったサンプルの服2点です。
白い背景で平置きした、からし色のカーディガンと生成りのボーダーTシャツで、どちらも1254px四方です。
顧客の写真や他社の商品画像は使っていません。
白背景の元画像から服の正確な輪郭を取り、それを正解にしました。
元画像で服の下に落ちている薄い影は服に含めず、背景として置き換えています。
そのうえで、背景の色・影・光のむらを画像処理で1つずつ差し替えた画像を16枚作りました。
実物を撮り直すと、服の置き方やシワまで毎回変わってしまうためです。
切り抜きは3つの方法で試しました。
- 色で選ぶ:画像の縁から背景の色を取り、そこから色差12以上の部分を服とみなします。画像編集ソフトの「自動選択」に近い方法です。許容値を3〜30に振った結果も記録しました
- AI isnet:rembg で配布されている isnet-general-use(DIS)
- AI BiRefNet:同じく rembg で配布されている BiRefNet の軽量版 birefnet-general-lite
どれも手元のパソコンで動かしました。
切り抜いた輪郭が正解の輪郭から平均で何pxずれたかを測っています。
差し替えた条件の中身は次の通りです。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 背景:白 | RGB 246,246,244 |
| 背景:薄いグレー | RGB 200,200,200 |
| 背景:濃いグレー | RGB 70,70,72 |
| 背景:服に近い色 | カーディガンはベージュ(RGB 204,170,92)、ボーダーTは生成りに近い白(RGB 236,230,219) |
| 柔らかい光 | 服の輪郭を右下へ4pxずらしてぼかした、濃さ10%の影 |
| 強い影 | 右下へ26pxずらした、輪郭のはっきりした濃さ45%の影 |
| 光のむら | 画像全体の明るさを左端100%から右端65%へ直線的に下げる |
どの画像にも、スマートフォンの写真に近づけるために細かなノイズを加えています。
カメラの傾きは、床に平らに置いた服をカメラで写したときの形を計算で出しました。
画角は iPhone 16 の仕様にあるメインカメラの26mmと2倍の52mm(35mm換算)です。
服は完全に平らなものとして扱っています。
検証結果の一覧

| 変えた条件 | 結果 | 気になった点 |
|---|---|---|
| カメラの傾き | △ 10度で肩÷裾が13%変化 | 撮った後に直すと、肩側が引き伸ばされて粗くなる |
| 背景:服に近い色 | △ 色で選ぶと全滅 | BiRefNetなら0.3〜1.0px |
| 背景:白(生成りの服) | △ 色で選ぶ・isnetが失敗 | BiRefNetは0.5px |
| 強い影 | ○ 色で選ぶと約13pxずれる | AIは影を外した |
| 光のむら | ○ 切り抜きは概ね保てた | 服の左右で色差 ΔE 9.4 |
| 背景:濃いグレー | △ 生成りの地は切り抜けた | 紺のボーダーが背景扱いに・isnetも失敗 |
実験1 背景の色を変える
背景を白・薄いグレー・濃いグレー・服に近い色の4種類に変えました。
光はどれも柔らかい光で、服の下にうっすら影が出る程度です。

生成りの服を白い紙に置く
白い紙に生成りのボーダーTを置いた画像を、3つの方法で切り抜きました。

色で選ぶ方法では、紺のボーダー1本しか残りませんでした。
生成りの地が背景と同じ色と判定され、紺の線だけが服として残っています。
許容値を3まで絞ると1.5pxまで合いました。
ただ、5にすると58pxに崩れます。
白に近い服と白い紙の組み合わせでは、ちょうどよい許容値の幅がほとんどありません。
AIのisnetも、右袖と生成りの地を取りこぼしました(ずれ89px)。
服の面積の6割を取り違えています。
BiRefNetは0.5pxで、見た目ではほぼ正確です。
同じAIの背景除去でも、モデルによって結果が分かれました。
服に近い色の紙に置く
からし色のカーディガンを、からし色に近いベージュの紙に置きました。

色で選ぶ方法では、服がほぼ丸ごと消えました。
許容値を3まで絞ると0.7px、5でも1.5pxで切り抜けましたが、8以上にすると背景と服の区別がつかなくなりました。
AIはisnet・BiRefNetとも0.3pxでした。
カーディガンは白・薄いグレー・濃いグレーでも、3つの方法すべてで1px未満に収まっています。
服と背景の明るさがはっきり違えば、どの方法でも困りませんでした。
濃いグレーの紙は万能ではない
生成りの服なら濃い背景がよさそうに見えます。
濃いグレーの紙で同じことを試しました。

今度は紺のボーダーが背景として抜けました(ずれ44px)。
生成りの地は切り抜けましたが、紺と濃いグレーが近い色だったためです。
背景は「白か黒か」ではなく、服のいちばん面積の大きい色とも、細部の色とも明るさが違うものを選ぶ必要があります。
AIのisnetも左袖と胸のあたりを取りこぼし(65px)、BiRefNetだけが0.5pxで切り抜けました。
実験2 影と光のむらを変える
白と薄いグレーの背景で、光の当たり方を2通りに変えました。
- 強い影:左上から強い光が当たり、服の右下に濃い影が落ちる状態
- 光のむら:窓際を想定し、画像の右端が左端より35%暗くなる状態
強い影

色で選ぶ方法では、影まで服として切り抜かれました。
ずれは13.4pxで、許容値を変えても白い紙で4.6px、薄いグレーの紙で11.5px以上残りました。
切り抜いた服の輪郭に灰色の縁が付くので、白い背景に置き直すと目立ちます。
AIは2つとも0.2〜0.3pxで、影をきちんと外しました。
生成りのボーダーTでは、影がある画像で isnet が73〜78pxずれ、BiRefNetは0.5pxでした。
光のむら

切り抜きへの影響は小さく、AIは0.2〜0.3px、色で選ぶ方法も1.4pxでした。
それでも、服の色は左右で ΔE 9.4 違いました。
均一な光では1.1です。
色見本で並べると、右半分はくすんだ黄土色に見えます。
この差は切り抜いても残るので、撮る時点で光をそろえておく必要があります。
実験3 カメラの傾きを変える
服の中心を見たまま、カメラを裾の側へ倒していきました。
26mm相当では、0度で服の幅60cmが画面の8割に収まる距離(約54cm)から撮ったものとして計算しています。

10度傾けると、肩幅÷裾幅の比が13%小さくなりました。
カメラに近い裾が大きく、遠い肩が小さく写るためです。
| 傾き | 26mm相当・約54cmから | 52mm相当(2倍)・約108cmから |
|---|---|---|
| 3度 | −4.2% | −2.1% |
| 5度 | −6.8% | −3.5% |
| 10度 | −13.2% | −6.8% |
| 15度 | −19.1% | −10.0% |
| 20度 | −24.5% | −13.0% |
| 30度 | −34.0% | −18.5% |
2倍に切り替えて倍の距離から撮ると、同じ傾きでもずれは約半分になりました。
服までの距離に対して、服の手前と奥の距離の差が小さくなるからです。
手持ちで真上を狙うと、数度の傾きは気づかないうちに入ります。
表の3度でも、26mm相当なら肩と裾の比が4%ずれました。
脚立やスタンドでスマートフォンを固定し、2倍に切り替えて少し高い位置から撮ると、同じ手ぶれ程度の傾きでもずれを半分に抑えられます。
真上から撮れていれば、距離を変えても形は変わりません。
傾きは撮った後に遠近を補正することもできますが、そのときは遠い側(この例では肩側)を引き伸ばすことになり、その部分の画素が粗くなります。
自分の写真で傾きを確かめる
実験3の比は、手元の写真でも同じように確かめられます。
- 撮った服の肩幅と裾幅を、平置きのままメジャーで測ります
- 写真の上で、同じ2か所の幅を画素数で測ります。画像編集ソフトの選択範囲や定規の表示で足ります
- 「写真の肩幅÷写真の裾幅」を「実物の肩幅÷実物の裾幅」で割ります
1から離れるほど、カメラが傾いています。
0.93なら、26mm相当の近い距離で5度前後傾いていた計算です。
1より大きければ、肩の側からカメラを倒しています。
何点も撮る場合は、最初の1点で確かめてからカメラの位置を固定すると、残りの撮影で同じずれを繰り返さずに済みます。
検証から分かったこと

- 撮影後に戻しにくいのは、形(傾き)と色(光のむら)です。 切り抜きの失敗は道具を変えればやり直せますが、この2つは撮る時点で決まります
- 背景の色が効くかどうかは、切り抜く道具で決まります。 色で選ぶ方法では決定的で、BiRefNetでは試した範囲でほとんど差が出ませんでした
- 白や生成りの服は、白い紙との組み合わせがいちばん危険でした。 色で選ぶ方法は許容値の幅がほとんどなく、AIのモデルでも1種類は大きく取りこぼしました
コツの優先順位は、真上から撮る、光を左右均一にする、服と明るさの違う背景を選ぶ、の順です。
影は、AIで背景を外すなら気にしすぎなくて構いません。
撮る前のチェック

- グリッドと水平をオンにする:iPhoneでは設定アプリの「カメラ」から「グリッド」と「水平」をオンにします(Apple サポート)。同じページには、撮影後に写真アプリで縦横の遠近を調整できるとも書かれています。ただし実験3の通り、補正すると遠い側が粗くなります
- 真上から、2倍で少し離れて撮る:同じ傾きでも形のずれが約半分になります
- 服と明るさの違う紙を選ぶ:生成りや白の服は白い紙を避けます。ボーダーや柄がある服は、柄の色とも近くない色にします
- 光を左右均一にする:窓からの光だけで撮ると、窓と反対側が暗くなります
- 出品先の背景ルールを確かめる:楽天市場の商品画像登録ガイドラインは、背景を「単色白景 または 写真背景」にするよう求めています。グレーの紙で撮った場合は、切り抜いてから白い背景に置き直します
この検証の背景と光は画像処理で作った条件です。
実際の撮影では、紙のシワや服の厚み、レンズのゆがみも加わります。
数字は条件ごとの差の目安として見てください。
まとめ
平置き撮影のコツのうち、数字を大きく動かしたのはカメラの傾きでした。
10度で肩と裾の比が13%変わり、撮った後に直すと片側が粗くなります。
光のむらも、切り抜きには響かない一方で服の色を左右で変えました。
背景の色と影は、切り抜く道具しだいです。
色で選ぶ方法なら服と明るさの違う背景が欠かせません。
AIの背景除去を使うなら、まず傾きと光を整えることに手間をかけるほうが、仕上がりの差になります。
よくある質問
参考リンク
- Apple サポート「iPhoneのカメラツールを使って撮影を設定する」(2026-09-27 確認)
- Apple「iPhone 16 - 技術仕様」(2026-09-27 確認)
- 楽天市場 RMSサービススクエア「商品画像登録ガイドライン」(2026-09-24 確認)
- rembg / BiRefNet / DIS(isnet)


