スマホで商品撮影するときの倍率と距離|服のゆがみを0.5倍から8倍まで計算で検証
セントラルオフィス編集部公開日 約10分で読めます

スマートトリミングAIを開発している株式会社セントラルオフィスです。
スマホで服を撮るとき、カメラを1倍のまま服に近づいて撮ることが多いと思います。
近くから撮ると、胸の中央が前にふくらんで見え、裾は弧を描いて写ります。
何倍に切り替えて何cm離れれば、このゆがみが小さくなるのかは、商品撮影のコツを書いた記事を探してもほとんど見つかりませんでした。
そこで、iPhoneの0.5倍から8倍までの焦点距離で、トルソーやハンガーに掛けた服がどう写るかを計算してみました。
服の商品写真をスマホで撮っている、EC担当の方に向けた記事です。
結論:2倍に切り替えて服の中央の高さから撮る
結論から言うと、2倍に切り替え、トップスなら服の表面から約1.3m離れて、服の中央の高さで水平に構えるのが手軽です。
1倍で服を画面いっぱいに入れると、スマホと服の表面の距離は66cmでした。
このとき胸の中央は、脇より14.3%大きく写りました。
2倍にすると距離は131cmに伸び、この差は7.7%まで縮みます。
次の図は、トップスを画面の縦の8割に収める距離と、胸と脇の大きさの差を倍率ごとに並べたものです。

4倍なら差は4.2%まで減るものの、服から2.5m以上離れなければなりません。
ワンピースのように丈の長い服は、2倍で約2.1m離れて撮ります。
なので、まずは2倍に切り替え、服の中央の高さで水平に構えて撮るのがおすすめです。
iPhoneの倍率ごとの焦点距離
ここまでの距離は、倍率ごとに決まっている焦点距離から計算したものです。
焦点距離はAppleの技術仕様に、35mm判に換算した値で載っています。
iPhone 17・iPhone Duo・iPhone 16は、0.5倍が13mm、1倍が26mm、2倍が52mmです。
iPhone 18 Pro と Pro Max は選べる倍率が多く、0.5倍が13mm、1倍が24mm、2倍が48mm、4倍が100mm、8倍が200mmでした。
iPhone Air と iPhone 17e には超広角のカメラが無いので、選べるのは1倍と2倍になります。
iPhone 18 Pro の仕様では、2倍と8倍は「12MPの光学品質」と書かれています。
次の表は、機種ごとの倍率と焦点距離をまとめたものです。

Androidのスマホでも、仕様にある35mm判換算の焦点距離が同じなら、距離とゆがみの計算結果は変わりません。
計算の条件
焦点距離が分かると、服を同じ大きさに写すための距離が決まります。
服は、断面が楕円の硬い筒として計算しました。
筒の幅は40cm、奥行きは22cmです。
着丈はトップスが70cm、ワンピースが110cmで、どちらも服の中央が床から110cmの高さにあります。
スマホは縦に持ち、服が画面の縦の8割に入るところまで離して計算しました。
構え方は、服の中央と同じ110cmの高さで水平に構える場合と、140cmの高さから服の中央へ向けて見下ろす場合の2通りです。
記事の中の距離は、服の表面からスマホまでの長さで書いています。
次の図は、計算した撮り方を横から見たものです。

前提と限界
計算はピンホールカメラの透視投影で、写真を合成したものでも、実際に撮ったものでもありません。
レンズのゆがみ補正は、スマホの中で済んでいる前提で計算しました。
画面の縦横比は4:3で計算しました。
実際の服は柔らかく、袖や襟もあるので、数字はゆがみの大きさの目安として見てください。
横持ちにすると画面の縦が短くなるので、同じ大きさに収める距離は縦持ちの約1.3倍に伸びます。
1倍のトップスなら88cmになり、胸と脇の差は11.1%でした。
倍率ごとの撮る距離
次の表は、この条件でトップスとワンピースを画面の縦の8割に収める距離を、倍率ごとに並べたものです。

1倍で撮る距離は、トップスが66cm、ワンピースが103cmでした。
2倍では、トップスが131cm、ワンピースが207cmです。
4倍だとトップスでも253cm、ワンピースは397cmの距離が要ります。
iPhone 18 Pro は1倍と2倍の焦点距離が少し短く、トップスなら1倍で61cm、2倍で121cmになりました。
近いほど胸がふくらみ身幅が細く写る
では、距離が短いと写り方の何が変わるのでしょうか。
服の表面でスマホにいちばん近いのは胸の中央で、脇は奥です。
近くから撮るほど、手前の胸の中央は大きく、奥の脇は小さく写ります。
0.5倍で33cmまで近づくと、胸の中央は脇より25.0%大きく写りました。
1倍では14.3%、2倍では7.7%です。
服の輪郭になる脇は奥にあるので、身幅も実物より細く写りました。
身幅÷着丈の比は、1倍で実物より13.4%細く、2倍では7.4%細くなりました。
次の図は、この2つの差を倍率ごとに並べたものです。

写真から寸法を読み取る場合は、この細りがそのまま誤差になるので気をつけてください。
測る位置やカメラの傾きで採寸がどれだけずれるかは、服の採寸方法の検証で試しています。
裾と横縞の反り
近くから撮ると、大きさの差に加えて服の線も曲がって写ります。
110cmの高さで水平に構えると、服の上端は上に、裾は下に反って写りました。
0.5倍では裾の反りが写った着丈の10.0%になり、1倍でも6.3%ありました。
2倍では3.6%、4倍では2.0%でした。
5cm間隔の横縞も同じように反り、反りの大きさは1倍で5.8%、2倍で3.3%です。
次の図は、横縞のトップスを0.5倍から4倍まで、同じ大きさに写して並べたものです。

0.5倍には、もう1つ気をつける点がありました。
ゆがみ補正をしたあとの広角の写真では、画面の端にあるものが外側へ引き伸ばされます。
小さな球を画面の角に置くと、13mmでは94%、26mmでは30%、52mmでは8%伸びる計算です。
0.5倍で撮るなら、服は画面の中央に置いてください。
立ったまま見下ろすと台形になる
ここまでは、服の中央の高さで水平に構えた場合でした。
立ったまま胸の高さあたりから撮ると、別のゆがみが加わります。
スマホを140cmの高さに構え、服の中央へ向けて見下ろす場合を計算しました。
1倍では、スマホが25.0°下を向き、服の上端の幅が裾の1.54倍に写ります。
服は上が広い台形になり、裾がすぼまった形に写りました。
2倍にして離れると、見下ろす角度は12.5°になり、上端÷裾は1.12まで戻りました。
0.5倍では上端の幅が裾の3.98倍になり、服が画面の縦に収まりません。
次の図は、トップスを水平に撮った場合と、140cmから見下ろした場合を並べたものです。

台形を避けるには、スマホを服の中央の高さまで下げ、水平に構えてください。
撮る前の設定
水平に構えるには、画面に傾きの目安が出ていると楽です。
iPhoneでは、設定アプリで「カメラ」をタップしてから、「グリッド」と「水平」をオンにします。
Appleのユーザガイドでは、まっすぐ撮ったり構図を決めたりするのに役立つ表示として紹介されていました。
ピントと明るさは、画面の服の部分を「AE/AFロック」と表示されるまでタッチしたままにすると固定されます。
ロックを解除するには、画面をタップするだけです。
露出スライダで明るさを変えた場合、その露出は次に「カメラ」を開くまで保たれます。
「設定」>「カメラ」>「設定を保持」で「露出調整」をオンにしておけば、カメラを開き直しても露出は変わりません。
撮ったあとでも、写真アプリの編集で縦と横の遠近を調整できます。
次の図は、撮る前に確かめることを4つにまとめたものです。

服を床に置いて真上から撮る場合は、カメラの傾きがどれだけ効くかを服の平置き撮影の検証で測っています。
まとめ
スマホで服を撮るときのゆがみを決めるのは、倍率そのものより、服とスマホの距離です。
1倍のまま近づくと、胸の中央が脇より14.3%大きく写り、身幅は13.4%細くなりました。
2倍に切り替えて約1.3m離れると、どちらの差もほぼ半分に減ります。
立ったまま見下ろすと台形が加わるので、スマホは服の中央の高さで水平に構えてください。
1着で何カット撮るかは、アパレルの商品撮影で撮るカットと枚数で売れている商品を数えてまとめました。
よくある質問
参考リンク
- Apple「iPhone 18 ProとiPhone 18 Pro Max - 仕様」(2026-10-05 確認)
- Apple「iPhone 17 - 仕様」(2026-10-05 確認)
- Apple「iPhone Duo - 仕様」(2026-10-05 確認)
- Apple「iPhone Air - 仕様」(2026-10-05 確認)
- Apple「iPhone 17e - 仕様」(2026-10-05 確認)
- Apple「iPhone 16 - 仕様」(2026-10-05 確認)
- Apple サポート「iPhoneのカメラツールを使って撮影を設定する」(2026-10-05 確認)



