ささげ業務の原稿作成は生成AIに任せられる?架空の商品10点で誤りを数えて検証
スマートトリミングAIを開発している株式会社セントラルオフィスです。
ささげ業務は、ECの商品ページをつくる「撮影」「採寸」「原稿作成」の頭文字をとった呼び方です。
私たちは撮影した商品画像を整えるツールを作っていますが、3つの工程のうち原稿は文字だけで完結するため、生成AIに任せたいという声が特に多い工程です。
では、原稿の工程はどこまでAIに任せられるのでしょうか。
本記事では、架空の商品10点の商品情報と品質表示タグをAIに渡して原稿を書かせ、数字・説明文・素材名・お手入れ・洗濯記号の誤りを数えて検証しました。
検証の結論

- 採寸と組成の数字は、248セル・36か所すべて入力どおりに写しました
- 素朴な指示では、10商品中9商品の説明文に、入力にない生地の性質が計13か所入りました。4行のルールを足すと0件になりました
- 品質表示タグの画像を読ませると、組成は20回とも正解でしたが、洗濯記号は124個中39個を読み違えました
- 記号は意味の文章にして渡し、説明文とお手入れ欄だけを人がタグと照らし合わせる分担が現実的です
検証の条件
AIに渡したのは、次の2種類の材料です。

商品は、Tシャツ・デニム・ニット・麻のシャツ・ダウン・ワンピースなど、実在しない10点です。
組成・取扱表示・採寸の正解を先に決め、品質表示タグも記号を含めて自分たちで描きました。
実験1では、商品情報をテキストで渡して、商品名・説明文・素材・お手入れ・サイズ表の原稿を書かせました。
見出しと字数だけを指定した「素朴な指示」と、4行の守ることを足した「ルール付き」の2通りを、各商品1回ずつ実行しています。
実験2では、タグの画像だけを渡して組成と記号の意味をJSONで答えさせ、同じ画像で2回ずつ読ませました。
使ったのは OpenAI の gpt-5.6-terra(Codex CLI 0.146.0、推論の設定は high)で、実施日は2026年9月25日です。
1件の生成は11〜16秒でした。
出力は正解データと突き合わせて誤りを数え、「上品」「抜け感」のような主観の形容は数えていません。
素朴な指示の本文は次のとおりです。
この後ろに商品情報のJSONを付けました。
あなたはアパレルECの商品ページ担当者です。以下の商品情報から、商品ページの原稿を作ってください。
出力は次の見出しを使ったMarkdownにしてください。
## 商品名
## 品番
## カラー
## 説明文(150〜250字)
## 素材
## お手入れ
## サイズ表(単位cm、Markdownの表)
検証結果の一覧

| 試したこと | 結果 | 気になった点 |
|---|---|---|
| 採寸・組成の数字を写す | ◎ | 特になし |
| タグの画像から組成を読む | ◎ | 特になし |
| ルール付きの指示で説明文を書く | ○ | 文が短く平板になる |
| 素材名を書く | ○ | 説明文で「麻」を「リネン」と言い換えた |
| お手入れ欄を書く | ○ | 要約すると溶剤の限定が落ちた |
| 素朴な指示で説明文を書く | △ | 入力にない性質を書き足した |
| タグの画像から洗濯記号を読む | △ | アイロンの温度と細い線を読み違えた |
実験1:商品情報のテキストから原稿を書かせる
採寸と組成の数字を写す
小数を含むデニムの採寸を渡し、サイズ表にするよう指示しました。

小数は丸められず、cmをインチに直した出力もありませんでした。
10商品×2通りのサイズ表248セルと、組成の%36か所が、すべて入力と一致しています。
「股下は裾上げ前の長さ」という特徴メモの注記も、説明文にそのまま残っていました。
ただし、ここで写しているのは人が測った数字です。
採寸の測り間違いは、AIが写す段階では見つかりません。
素朴な指示で説明文を書かせる
見出しと字数(150〜250字)だけを指定して、説明文を書くよう指示しました。

10商品中9商品の説明文に、入力にない生地の性質が計13か所入りました。
どれも、その服にありそうな記述です。
ポリウレタンが入ったデニムなら伸びることが多く、ダウンは暖かいのが普通です。
ただ、伸びる量や暖かさは、実物を測るか触らないと言えません。
ありそうな記述ほど、書いた人も読む人も誤りに気づきにくいと考えています。
4行のルールを足して書かせ直す
同じ商品情報に、次の4行を足して書くよう指示しました。
守ること:
- 数値(採寸・組成の%)は入力の値をそのまま書く。丸めたり換算したりしない
- 入力に書かれていない機能・特徴(伸縮性、撥水、防シワ、速乾、透け感、産地など)は書かない
- 素材は、入力の繊維の名称をそのまま使う(言い換えない)
- お手入れは、入力の取扱表示の意味を変えずに書く

書き足しは10商品とも0件になりました。
そのかわり説明文は入力を言い直す短い文になり、読み物としての魅力は減ります。
性質を書きたいときは、実物を触った人が「伸びる」「厚手」などを特徴メモに足し、AIにはそれを文章にさせるだけにする方法が現実的です。
記述の出どころを、あとからたどれます。
素材名を書かせる
素材欄と説明文の両方を、タグの組成をもとに書くよう指示しました。

素材欄は20件すべてタグの表記どおりでした。
言い換えが出たのは、素朴な指示の説明文の2件です。
タグの「麻」は、亜麻(リネン)と苧麻(ラミー)のどちらにも使える表示名です。
タグが「麻」だけなら、リネンかどうかはタグからは分かりません。
なお、「綿」を「コットン」、「毛」を「ウール」と書いた例は、どちらも表示に使える名称なので数えていません。
お手入れ欄を書かせる
取扱表示の意味の文章をもとに、お手入れ欄を書くよう指示しました。

素朴な指示では、2商品でドライクリーニングの溶剤の限定が抜けました。
「通常のドライクリーニングも可能です」と書かれると、どの溶剤でもよいように読めます。
ルール付きの指示では、取扱表示の文章をほぼそのまま写し、取り違えは0件でした。
お手入れ欄は、要約させずに写させる方が安全です。
実験2:品質表示タグの画像から読ませる
タグ1枚を読ませる
スウェットパーカーのタグの画像を渡し、組成と記号ごとの意味をJSONで答えるよう指示しました。

組成は、10商品×2回の20回すべてで、繊維名と%を正しく読めました。
表地と裏地を分けた表示も崩れていません。
記号は、このタグでは6つのうち3つを読み違えています。
10商品全体では、124個中39個(31%)でした。
誤りは特定の記号に集まっていて、それ以外の76個は1つも間違えていません。
アイロンの温度
温度のあるアイロン記号18個について、AIの答えを正しい意味と並べました。

18個すべてが、2024年8月の改正前の温度(200℃・150℃・110℃)で答えられました。
洗濯表示の規格 JIS L0001 はこの改正で、点2つのアイロンが150℃から160℃になるなど、温度が10℃ずつ上がっています。
点の数そのものは、ほぼ正しく読めていました。
例外は、点3つの記号を150℃と答えた1回だけです。
AIは、表示がどちらの規格のものかを確かめずに、古い温度で答えています。
細い線で意味が変わる記号
日陰の斜線や、弱い処理を表す下線など、細い線を足して意味を変える記号の読み取りを並べました。

日陰の干し方は、14個中12個で「日陰」が抜けました。
四角の左上の短い斜線を読み落とすと、お手入れ欄から日陰で干すという指定が消えます。
弱いドライクリーニングと酸素系漂白剤のみ可はそれぞれ6個中3個、手洗いの温度は4個中3個を読み違えました。
手洗いの3件のうち2件は、2024年の改正で加わった30℃の手洗い記号です。
同じ画像を2回読ませると、39個の誤りのうち34個は2回とも同じ記号で起きていました。
聞き直せば直る誤りではありません。
このほか、タグにない7つ目の記号を答えた出力が1件、JSONの括弧が1つ余った出力が20件中2件ありました。
検証から分かったこと

- 渡した数字は崩れない:小数を含む採寸も組成の%も、丸めや換算をせずに写しました
- 渡していない部分は、一般的な知識で埋める:生地の性質、「麻」→「リネン」、改正前のアイロン温度は、どれもその服やその記号によくある答えです
- 要約と細い線で、限定が落ちる:溶剤の限定、日陰、弱い処理のように、意味を狭める部分ほど抜けました
実務では、記号をAIに読ませず意味の文章にして渡し、書いてよい範囲を指示で縛ったうえで、説明文とお手入れ欄だけを人がタグと照らし合わせる分担が現実的と考えています。
数字の照合は、表計算やスクリプトで機械的に済ませられます。
使う前の注意点

洗濯表示の JIS L0001 は2024年8月20日に改正され、アイロンの温度が変わり、30℃の手洗いなどの記号も加わりました。
ただし、2025年8月19日までに旧表示を付けた商品は、そのままの表示で販売できます。
同じ点2つの記号でも、旧表示なら150℃、新表示なら160℃です。
どちらで読むかは、タグの画像ではなく、表示を付けた時期を知っている生産側の情報で決める必要があります。
素材の表示名は、消費者庁の「繊維の名称を示す用語」で決まっています。
「麻」には亜麻と苧麻の両方が含まれ、リヨセルのような再生繊維は「再生繊維(リヨセル)」の形で表示します。
説明文で別の呼び方をするなら、素材欄との食い違いが問い合わせのもとにならないかを確認してください。
改正の内容と記号の意味は、末尾の参考情報源にある消費者庁の資料で確かめられます。
まとめ
ささげ業務の原稿の工程では、テキストで渡した数字を写す作業は生成AIに任せても崩れませんでした。
一方で、指示で縛らなければ入力にない性質を書き足し、タグの画像からは洗濯記号の3割を読み違えました。
AIに任せる範囲は、渡した情報を文章と表に整える部分までと考えるのが現実的です。
記号は意味の文章にして渡し、説明文とお手入れ欄は人がタグと照らし合わせる工程を残すことをおすすめします。
生成AIを商品画像に使ったときの検証は、アパレルの商品画像は生成AIでどこまで作れる?にまとめています。
よくある質問
参考情報源
- 大和物流「ささげ|用語集」(2026-09-24 取得)
- 消費者庁「繊維の名称を示す用語」(2026-09-25 取得)
- 消費者庁「日本産業規格(JIS L 0001)の概要」(2026-09-25 取得)
- 消費者庁 報道発表資料「家庭用品品質表示法に基づく繊維製品品質表示規程の改正について」(PDF、2024年8月20日)
- 消費者庁「衣類の取扱表示(早見表)」(PDF)


