アパレルブランドの立ち上げ費用を公開料金で足した|Tシャツ50枚で約12万〜21万円
セントラルオフィス編集部公開日 約12分で読めます

スマートトリミングAIを開発している株式会社セントラルオフィスです。
自分の服のブランドを始めようと考えたとき、最初に気になるのは、いくら用意すれば売り始められるかではないでしょうか。
検索すると、会計ソフトのfreeeのアパレルブランドの立ち上げ費用の解説には、実店舗で開業する場合の初期費用について「1,000万円を超える可能性が高くなります」と書かれています。
ただ、個人で始めるなら、店を持たずにネットで売る形から考える方も多いはずです。
前回の記事でアパレルOEMの会社72社を数えたときは、Tシャツ50枚を作る総額が税別で10万〜12万円台でした。
じゃあ、そこに品質表示のタグや商標、ネットショップの手数料、送料まで足すと、いくらになるのでしょうか。
そこで、Tシャツを1型50枚作ってネットで売り始めるまでの費用を、各社の公開料金から足してみました。
これからブランドを立ち上げる方で、最初に用意するお金と値段の下限に見当をつけたい方は参考にしてください。
ブランドの立ち上げ全体の手順は、アパレルブランドの立ち上げ手順にまとめています。
結論:製造以外を公開料金で固めて製造だけ見積もる
結論から言うと、Tシャツ1型50枚なら、ネットで売り始めるまでの費用は約12万〜21万円が目安です。
品質表示だけを付ける最小の形で約12万〜14万円、商標やネーム、下げ札までそろえても約19万〜21万円に収まりました。

製造以外の項目は公開料金でほぼ決まる一方、総額の大半を占める製造だけは、見積もりを取るまで分かりません。
なので、製造以外を先に公開料金で固め、製造を3社以上に見積もってもらって総額を出すのがおすすめです。
決める順番は、次の3つに分けると迷いません。
- 品質表示・商標・ネーム・下げ札・撮影のうち、何を付けるかを決めて公開料金で足す
- 製造を3社以上に見積もってもらい、1で足した額と合わせて総額を出す
- 総額と手数料・送料から赤字にならない最低の値段を出し、それより上で値段を決める
3の最低の値段を出す式は、次のとおりです。
赤字にならない最低の値段 =(1枚あたりの費用+送料)÷(1−決済手数料の率)
この記事の例では、最小の組み方でも1枚2,718円より安く売ると赤字になりました。
数え方:Tシャツ1型50枚に固定して公開料金を足した
例は、Tシャツを1型、1サイズ1色で50枚作る形に固定しました。
前回の記事で、Tシャツ50枚の費用を内訳まで公開していたのが、出雲の縫製工場のコーワと、広州で作るkuguluの2社だったからです。
製造のほかに足したのは、品質表示・商標・織りネーム・下げ札・撮影・売る場所・発送の7つです。
それぞれ公式の料金ページを2026年10月9日に開き、比べた料金は合わせて19件になりました。
1つの項目に複数の会社があるときは、公開料金がいちばん安いものを使っています。
税別の料金は1.1倍して税込にそろえ、特許庁の手数料は非課税なのでそのまま足しました。
前回の記事の製造費は税別だったので、この記事ではそれぞれ1割高い114,400円と135,850円になります。
組み方は2つ用意しました。
「最小」は、製造に、法律で付けなければならない品質表示だけを足した形です。
「一式」は、そこに商標と織りネーム、下げ札、撮影代行を足し、ブランドとしてよく挙がる項目をそろえた形にしています。
どちらも写真は自分で撮る前提で、売る場所は月額0円のネットショップです。
売り始めるまでの費用は4通り
製造の2社と組み方の2つをかけ合わせ、4通りの総額を出しました。

最小の組み方では、コーワで116,435円、kuguluで137,885円でした。
50枚で割ると、1枚あたり2,329円と2,758円になります。
一式にすると73,258円が上乗せされ、189,693円と211,143円、1枚あたり3,794円と4,223円まで上がりました。
製造が総額に占める割合は、最小で98%、一式でも60〜64%です。
製造以外をどれだけ削っても、総額は製造の見積もりしだいで動くということです。
では、一式で上乗せされる73,258円は、何にいくらかかっているのでしょうか。
製造のほかで大きいのは商標
上乗せ分を項目ごとに分け、品質表示と、お金のかからない項目も並べました。

いちばん大きいのは商標の44,900円で、上乗せ分の61%を占めていました。
服のブランド名を1つの区分(第25類)で出願すると、特許庁の料金表では出願料が12,000円、10年分の登録料が32,900円です。
登録料は5年分ずつ17,200円で払うこともでき、その場合は最初に払うのが29,200円で済みます。
いずれも自分で出願した場合の額で、弁理士に頼むと、その手数料が別にかかります。
一方で、法律で付けなければならないのは品質表示だけです。
消費者庁の繊維製品の表示の一覧では、シャツには繊維の組成、家庭洗濯等取扱方法、表示者名及び連絡先を表示することになっています。
アルターワークスの洗濯ネームなら、100枚と送料で2,035円でした。
デザインのデータを作成から頼んでも、300円(税別)しか変わりません。
織りネームと下げ札は付けなくても売れますが、付けるなら2つで25,058円かかります。
撮影は自分で撮れば0円で、撮影代行に1着だけ頼むと、商品撮影代行の料金で調べた最低料金の3,300円がかかりました。
2型目は商標とネームの分だけ安い
商標は10年分、織りネームと下げ札は100枚単位で買うので、1型目で払った分は2型目に持ち越せます。
そこで、コーワで一式をそろえた場合の1型目と2型目を並べました。

1型目は189,693円でしたが、2型目は119,735円で、約7万円下がりました。
1枚あたりは3,794円から2,395円になり、最小の組み方の2,329円とほとんど変わりません。
品質表示は、素材や洗い方が変われば作り直すので、2型目でも足しています。
つまり一式の上乗せ分は、1型目だけで回収しようとすると重く、型を重ねるほど1枚あたりが薄まる費用です。
売るたびに手数料と送料で1割強かかる
ここまでは売る前に払う費用でした。
売り始めると、1枚売れるたびに決済の手数料と送料がかかります。

5,000円の服が1枚売れると、月額0円のSTORES フリーでは決済手数料が275円で、クリックポストの送料240円と合わせて515円です。
BASE スタンダードは決済手数料の3.6%+40円にサービス利用料の3%が乗るので、370円と送料で610円になります。
どちらも売値の1割強にあたり、5,000円の服で手元に残るのは4,390〜4,485円です。
クリックポストは2026年10月1日に185円から240円に上がったばかりなので、古い記事に載る185円との差は1枚55円です。
発送を外に頼む場合は、物流・発送代行の料金で数えた小型便の出荷1件260〜399円が目安になります。
月35枚からは月額のかかるプランが安い
月額のかかるプランは手数料の率が低いので、売る枚数が増えるほど得になります。
どこで入れ替わるかを、5,000円の服で月の枚数ごとに比べました。

5,000円の服なら、月34枚まではSTORES フリーがいちばん安く、35枚からはSTORES スタンダード(1年契約で月3,300円)が逆転しました。
140枚を超えるとShopify ベーシックがわずかに安くなるものの、1枚2.5円の差しかなく、2本の線はほぼ重なっています。
入れ替わる枚数は値段で変わり、3,000円の服なら58枚からです。
50枚を数か月かけて売るなら、月額0円のプランで始め、月に35枚以上売れるようになってから切り替えれば足ります。
赤字にならない最低の値段は2,718円から
売る前の費用と売るたびの費用がそろったので、値段の下限が出せます。
全部売れたときに、手数料と送料を引いても1枚あたりの費用を割らない値段を、結論の式で計算しました。

コーワで作ってSTORES フリーで売る場合、最小の組み方なら2,718円、一式なら4,269円、2型目なら2,788円でした。
kuguluで作ると、最小で3,172円、一式で4,723円です。
ただし、これは50枚が全部売れた場合の値段です。
50枚のうち40枚しか売れなければ、最低の値段は最小で3,334円、一式で5,272円に上がり、一式の1型目は5,000円で売っても赤字になります。
5,000円で全部売れた場合でも、一式の1型目で1枚に残るのは691円で、最小なら2,156円でした。
デザイン代や自分の手間はここに入っていないので、値段はこの最低の値段よりかなり上に置くのが現実的です。
この足し方で分からないこと
製造の額は、前回の記事で内訳を公開していた2社の例で、コーワの額は「〜」の付いた最低額です。
生地や加工、枚数が変われば上がるので、実際の総額は見積もりを取るまで決まりません。
デザイン代、サンプルの作り直し、在庫の保管、自分の手間も足していません。
下げ札は、枚数ごとの料金表を公開している会社を1社しか見つけられなかったので、ほかの会社では違う額になりえます。
アルターワークスの織りネームは送料の記載がなく、送料は足していません。
Shopifyの料金ページには税込か税別かの記載がなく、書かれた額をそのまま使いました。
Shopifyは最初の3か月が月150円になるので、始めた直後の3か月はこの比較に当てはまりません。
決済手数料はカードの最低の料率で、BASE スタンダードではAmazon PayやPayPayなどで払われると4.6%+40円に上がります。
数字は2026年10月9日の時点のものです。
まとめ
Tシャツ1型50枚をネットで売り始めるまでの費用は、品質表示だけを付ける最小の形で約12万〜14万円、商標やネーム、下げ札までそろえて約19万〜21万円でした。
総額の60〜98%は製造で、製造以外の上乗せのうちいちばん大きいのは商標の44,900円です。
売り始めると、5,000円の服1枚につき手数料と送料で515〜610円かかり、最小の組み方でも2,718円より安く売ると赤字になります。
なので、製造以外を公開料金で固めてから製造を3社以上に見積もってもらい、赤字にならない最低の値段より上で値段を決めるのがおすすめです。
製造を頼む会社の最小ロットや単価は、アパレルOEMの最小ロットと費用で72社を数えています。
売り始めた後にどのくらい残るかは、上場アパレル22社の利益率と合わせてアパレルブランドの立ち上げ手順で数えました。
よくある質問
参考情報源
- freee:アパレルブランドの立ち上げ費用
- 特許庁:産業財産権関係料金一覧、初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~
- 消費者庁:繊維製品一覧表
- アルターワークス:洗濯ネーム価格表、織りネーム価格表
- カケエ・コーポレーション:下げ札の印刷・製作、織りネームの作成・印刷
- BASE:スタンダードプランとはなんですか、グロースプランとはなんですか
- STORES:STORES ネットショップ
- Shopify:料金プラン
- 日本郵便:クリックポスト
- コーワ:料金
- kugulu:生産について



