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アパレルブランドの立ち上げ手順|7つの工程の費用と上場22社の利益率で数えた

セントラルオフィス編集部公開日 約12分で読めます

スマートトリミングAIを開発している株式会社セントラルオフィスです。

自分の服のブランドを始めたいと思ったとき、何から手を付ければいいのか、そもそも儲かるのか、の2つで迷う方は多いのではないでしょうか。

「アパレルブランド 立ち上げ」で検索すると、上位にはネットショップ作成サービスや専門学校の解説が並び、手順の説明と「実店舗なら1,000万円以上」という額がくり返し出てきます。

一方で、検索結果の「他の人はこちらも質問」に並ぶ「アパレル起業は儲かりますか?」には、数字で答えたページが見つかりませんでした。

そこで、立ち上げを7つの工程に分けて、工程ごとの費用を各社の公開料金で数えました。

儲かるかは、上場アパレル22社の決算短信を開き、100円売って何円残るかを数えています。

これから服のブランドを始める方で、手順と費用、儲けの見当を一度につけたい方は参考にしてください。

結論:小さく作って、売れ残っても赤字にならない値段にする

結論から言うと、ネットで売るブランドなら、Tシャツ1型50枚で約12万〜21万円あれば売り始められます。

ただし儲けは薄く、上場アパレル22社でも、100円売って残るのは中央値で5.6円でした。

立ち上げの費用は小さく、儲けは薄い。最初の1型を売り始めるまでは約12万〜21万円(Tシャツ1型50枚・ネットで売る)。上場22社が100円売って残す額は中央値5.6円で、22社中3社は赤字。粗利率55%以上の8社は中央値2.8円で、販管費で粗利が消える。決める順番は、1 1型・少ない枚数で作り、製造以外を公開料金で固める、2 売れ残りが出ても赤字にならない値段にする、3 2型目からは商標・ネームの分だけ安くなる
見てほしいのは、上場22社でも100円売って残るのが5.6円であること

立ち上げの費用は、店を持たなければ数十万円の単位に収まります。

難しいのは始めることより、売った後にお金を残すことです。

なので、最初は1型を少ない枚数で作り、製造以外の費用を公開料金で固めてから、売れ残りが出ても赤字にならない値段を付けるのがおすすめです。

アパレルブランドの立ち上げは7つの工程

立ち上げの仕事は、次の7つの順に進みます。

工程ごとに、公開されている料金や数字を1つずつ置きました。

アパレルブランドの立ち上げは7つの工程。1 ブランド名と商標(1区分・10年で44,900円)、2 生産(OEM)(Tシャツ50枚で1枚2,080〜2,470円)、3 品質表示・ネーム(品質表示100枚で2,035円)、4 撮影・採寸・説明文(楽天ファッションの1商品で画像13枚)、5 売る場所(5,000円の服1枚の手数料・送料515〜610円)、6 在庫(上場22社の中央値123日分)、7 物流(代行の出荷1件260〜399円)。最初の1型(Tシャツ50枚)を売り始めるまで約12万〜21万円
見てほしいのは、工程ごとの額が数千円から数万円に収まっていること

1. ブランド名を決めて商標を取る

最初に決めるのはブランド名で、ほかの人に使われないようにするなら商標を取ります。

服のブランド名を1つの区分(第25類)で自分で出願すると、特許庁の料金表では出願料12,000円と10年分の登録料32,900円で、合わせて44,900円です。

商標は付けなくても服は売れますが、立ち上げの費用の中では製造の次に大きい項目でした。

内訳はアパレルブランドの立ち上げ費用にまとめています。

2. 生産を頼む会社を探す(OEM)

服を自分で縫わないなら、生産をOEMの会社に頼みます。

公式サイトに最小ロットを数字で出していたのは72社のうち34社で、中央値は50枚でした。

Tシャツ50枚の内訳まで公開していた2社では、パターン代や版代まで足した1枚あたりが2,080〜2,470円(税別)です。

単価を公開している会社は72社のうち14社しかないので、3社以上に同じ条件で見積もりを取るのが現実的です。

数え方と聞いておきたい3つのことは、アパレルOEMの最小ロットと費用に書きました。

3. 品質表示とネーム・下げ札を付ける

服に付けなければならないのは品質表示で、消費者庁の繊維製品の表示の一覧では、シャツには繊維の組成や洗濯の方法、表示者名と連絡先を表示することになっています。

洗濯ネームに印刷して付けるなら、100枚で2,035円の例がありました。

ブランド名を織った織りネームと下げ札は、付けなくても売れます。

付けるなら、100枚ずつで合わせて25,058円でした。

4. 撮影・採寸・説明文をそろえる

ネットで売るなら、商品ページに写真と寸法、説明文が要ります。

楽天ファッションの上位の商品では、1商品の画像は真ん中の値で13枚でした(アパレルの商品撮影で撮るカットと枚数)。

自分で撮れば費用はかからず、外に頼む場合は商品撮影代行の料金で数えた1カット400〜3,000円が目安です。

寸法の測り方は服の採寸方法、説明文の作り方は商品説明文をChatGPTとGeminiで作るコツにまとめています。

5. 売る場所を選ぶ

最初の売る場所は、月額0円から始められるネットショップが現実的です。

月額0円のプランでも、5,000円の服が1枚売れるたびに、決済の手数料と送料で515〜610円かかります。

モールに出す場合は、楽天市場の出店費用が2027年2月からがんばれ!プランで月34,000円(税別)になり、ZOZOTOWNは出店料や月額を公表していません。

自分のサイトの商品ページの作り方は、アパレル企業の自社ECサイト22サイトを数えた記事が参考になります。

6. 在庫の量を決める

服は季節で売れ方が変わるので、何日分の在庫を持つかを決めておきます。

上場アパレル22社の在庫は、売れる量の中央値123日分でした(アパレルの在庫管理の目安)。

最初の1型は、売り切れる見込みの枚数で作るほうが安全です。

7. 発送の手段を決める

注文が入ったら、自分で梱包して送るか、発送を外に頼みます。

自分で送るならクリックポストの240円から、外に頼むなら物流・発送代行の料金で数えた小型便の出荷1件260〜399円が目安です。

仕入れた服を売る形と迷っている方は、アパレル仕入れサイトの規約で、仕入れた商品の画像を使ってよいかを確かめておくと判断しやすくなります。

最初にかかるお金は約12万〜21万円

7つの工程を足すと、Tシャツを1型50枚作ってネットで売り始めるまでの費用は、約12万〜21万円でした。

品質表示だけを付ける最小の形で約12万〜14万円、商標とネーム、下げ札、撮影代行まで足しても約19万〜21万円です。

総額のうち60〜98%は製造で、製造以外を削っても総額はあまり動きません。

検索結果でくり返し出てくる「1,000万円以上」は実店舗を開く場合の額で、ネットで売るなら桁が2つ違います。

項目ごとの金額と、2型目でいくら下がるかは、アパレルブランドの立ち上げ費用で計算しました。

では、売り始めた後にお金は残るのでしょうか。

上場22社でも100円売って残るのは5.6円

儲けの物差しとして、上場アパレル22社の直近の通期の決算短信を開き、売上を100円にそろえて、原価と販管費を引いた残り(営業利益)を数えました。

22社は、在庫日数を数えた記事と同じ会社と同じ決算期です。

上場アパレル22社が100円売って残す額(営業利益率)。ゴールドウイン18.8円、ワークマン18.4円、ファーストリテイリング16.6円、パルグループホールディングス11.6円、しまむら8.8円、AOKIホールディングス8.7円、TOKYO BASE 8.2円、ハニーズホールディングス8.2円、yutori 7.6円、ワールド5.6円、青山商事5.6円、TABAYAホールディングス5.5円、アンドエスティHD 5.4円、西松屋チェーン5.1円、オンワードホールディングス4.9円、ルックホールディングス3.4円、TSIホールディングス2.6円、三陽商会2.2円、バロックジャパンリミテッド0.6円、コナカ−1.4円、はるやまホールディングス−1.9円、夢展望−10.9円。中央値は5.6円
見てほしいのは、22社中12社で水色の販管費が灰色の原価より長いこと

残る額の中央値は5.6円で、10円以上残せたのは22社のうち4社だけでした。

いちばん多いゴールドウインで18.8円、コナカとはるやまホールディングス、夢展望の3社は赤字です。

100円のうち、原価は中央値で45.8円、店や人、広告などの販管費は48.0円でした。

服の会社は、原価よりも売るための費用のほうに多くのお金を使っているということです。

上場企業の数字は、店舗や社員を抱えた会社のもので、個人のブランドの利益そのものではありません。

それでも、大手が100円売って何円残しているかは、自分の値付けを考えるときの物差しになります。

粗利率が高い会社ほど残りが少ない

意外だったのは、粗利率の高い会社ほど、最後に残る額が少なかったことです。

粗利率の帯ごとに22社の営業利益率を点で並べた図。粗利率50%未満の6社は中央値7.2%、50〜55%の8社は中央値5.6%、55%以上の8社は中央値2.8%。55%以上の帯には赤字の2社が入る
見てほしいのは、粗利率の帯が上がるごとに中央値が下がること

粗利率が50%未満の6社は残りが中央値7.2円、50〜55%の8社は5.6円、55%以上の8社は2.8円でした。

粗利率55%以上の8社は、原価が中央値39.9円と安い一方で、販管費が57.8円かかっています。

定価に近い値段で売るには、店の雰囲気や接客、広告にお金がかかり、原価で浮いた分がそこで消えるということです。

在庫日数の記事では、粗利率の高い会社ほど在庫を長く持っていたので、時間をかけて売るぶん、費用もかさむと考えられます。

反対に、粗利率が38%と低いワークマンは、販管費を19.5円に抑えて18.4円を残していました。

儲けは、原価を安くするより、売るための費用をどれだけ抑えられるかで決まる面が大きいようです。

自分のブランドで残る額を出す

上場企業の数字を、自分のブランドに置き換えてみます。

立ち上げ費用の記事の例で、Tシャツ1型50枚を作り、5,000円で売った場合を計算しました。

自分のブランドで5,000円のTシャツを売ると。Tシャツ1型50枚、製造はコーワ、STORES フリー、クリックポスト。最小の組み方で全部売れると費用116,435円に対して107,815円残る(売上の43.1%)。一式で全部売れると費用189,693円に対して34,557円残る(売上の13.8%)。一式で40枚しか売れないと10,293円の赤字。手数料と送料を引いた手取りは1枚4,485円
見てほしいのは、一式で10枚売れ残ると赤字になること

手数料と送料を引くと、手元に入るのは1枚4,485円です。

品質表示だけの最小の組み方で全部売れれば、残るのは107,815円で、売上の43.1%にあたります。

商標やネーム、下げ札までそろえた一式では34,557円、売上の13.8%まで下がりました。

さらに一式で50枚のうち40枚しか売れなければ、10,293円の赤字です。

ここにはデザイン代や広告、自分の手間が入っていないので、続けるうちに上場企業の販管費に近い費用が乗ってきます。

計算は次の式でできるので、作る前に一度出しておくと値段を決めやすくなります。

残る額 =(売値 − 手数料と送料)× 売れた枚数 − 作るまでにかかった費用

売れ残りの枚数を何通りか入れてみて、赤字にならない枚数がどこかを確かめておくのが安全です。

この数え方で分からないこと

上場22社の数字は、店舗や社員を抱えた会社の1年分の決算で、個人のブランドの利益を表すものではありません。

AOKIホールディングス・パルグループホールディングス・青山商事・ワールド・夢展望の5社は、衣料の売上が全体の7割未満で、雑貨や飲食などほかの事業を含みます。

ワークマンはフランチャイズの加盟店からの収入があるので、売上高ではなく営業総収入で割りました。

ファーストリテイリングは、在庫日数の記事にそろえて2025年8月期の数字を使っています。

決算期は会社ごとに違い、2025年8月期から2026年5月期までが混ざっています。

新しく立ち上がったブランドの数や、個人のアパレル起業がどのくらい続くかを示す公的な統計は、見つけられませんでした。

なので、成功率や個人の年収は、この記事では数字で答えていません。

工程ごとの料金は、それぞれの記事で数えた2026年10月の時点のものです。

まとめ

アパレルブランドの立ち上げは、商標・生産・品質表示とネーム・撮影と説明文・売る場所・在庫・物流の7つの工程に分かれます。

ネットで売るなら、Tシャツ1型50枚で約12万〜21万円あれば売り始められ、総額の6割以上は製造です。

一方で、上場アパレル22社でも100円売って残るのは中央値5.6円で、粗利率の高い会社ほど販管費で粗利が消えていました。

なので、最初は1型を少ない枚数で作り、製造以外を公開料金で固めてから、売れ残りが出ても赤字にならない値段を付けるのがおすすめです。

よくある質問

参考情報源

各社の直近の通期の決算短信(確認日 2026年10月10日)。

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