撮影・ささげ

白背景の商品撮影で紙が灰色に写る理由と直し方|露出補正・影・後処理で背景の値を測った

セントラルオフィス編集部公開日 約11分で読めます

スマートトリミングAIを開発している株式会社セントラルオフィスです。

白い紙や白い布を敷いて服を撮ったのに、パソコンで開くと背景がうすい灰色だった、ということはよくあります。

noteの体験記「白背景の撮影をやってみよう」にも、白い背景のつもりが「グレーになっちゃう」と書かれていました。

白い紙がなぜ灰色に写るのか、露出をどこまで上げればよいのか、撮った後にどう白くすればよいのかを、数字で示した記事はほとんど見つかりません。

そこで、カメラメーカーの資料で露出の基準を確かめたうえで、露出補正と影で背景の値がどう変わるかを計算し、楽天で売れている服の画像2,049枚の背景も数えてみました。

撮った後に背景を白くする2つの方法も、サンプル写真で比べています。

自社で服を撮り、白背景の商品画像を作っているEC担当の方に向けた記事です。

結論:露出は少し上げて撮り背景だけを後で白くする

結論から言うと、白い紙が灰色に写るのはカメラの露出の決め方によるもので、背景を255にそろえるのは撮影より仕上げの役目です。

白いシャツの写真で画像全体の明るさを+150まで上げても、背景は250〜251で止まり、シャツは背景に溶けました(自社環境での計測値(条件: codexで生成した写真、明るさは当社アプリの補正と同じ式))。

白いシャツの写真3枚。撮ったままは背景が約170でシャツの濃淡26.9、全体の明るさ+150は背景が約250でシャツの濃淡6.5、背景だけ白くした写真は背景が255でシャツは元のまま
見てほしいのは、全体を明るくしたシャツの濃淡が26.9から6.5に減り、背景と見分けにくくなったところです

背景だけを白くした写真は、背景が255になり、シャツの範囲の値は変わりませんでした。

なので、撮るときは露出を少し上げて影を減らし、背景だけを後から255にするのがおすすめです。

手順とコツは次の4つです。

  • 露出補正は+1〜+2から始める:画面のほとんどが白い紙なら、+1で紙は162、+2で221になる計算です
  • 紙に当たる光をそろえる:光が半分になった影の所まで255にするには露出をもう+1上げる必要があり、反射率45%以上の服も255に張り付きます(計算)
  • 白い服の生地が飛んでいないか見る:露出+2の再現では、白いシャツの画素の93.6%が255になりました
  • 最後に背景だけを白くする:画像全体の明るさは上げません
白背景の撮り方と仕上げ方の4つの手順。露出補正を+1〜+2に、紙に当たる光をそろえる、白い服の質感を残す、背景だけ後で白くする
見てほしいのは、背景を255にするのが最後の手順になっているところです

白い紙が灰色に写るのはカメラが平均を18%にするから

パナソニックのLUMIXのデジタルカメラ講座は、画面の中の反射率18%の部分が正しく18%として写る露出を「標準露出」と呼び、カメラ内蔵の露出計や自動露出もこれを基準にしていると説明しています。

リコーイメージングのDr.M vol.4にも、カメラが適正と判断する露出は「わりと明るいグレー(18%くらい)」が基準だと書かれていました。

コダックのグレーカードR-27の資料によると、多くの露出計は平均的な場面に合わせて校正されていて、カードのグレーの面は光の18%、白い面は90%を反射します。

つまり画面のほとんどが白い紙だと、カメラは反射率90%の紙を18%のグレーと同じ明るさまで暗く写します。

18%のグレーを画像の値に直すと、sRGBの式で118です(計算)。

白い紙が灰色に写る仕組み。反射率90%の白い紙を、カメラは画面の平均を18%のグレーとして写すので、紙は118の灰色になる。露出補正+2.5で紙は255になる(計算)
見てほしいのは、紙が白いほどカメラが暗く写すところです

キヤノンの写真用語集も、明るい被写体は露出をプラス側に補正するよう案内しています。

ソニーのαcafeの作例では、白いソファーに置いた黒い帽子が露出補正±0で黒くつぶれ、+1.7で質感がわかるようになっていました。

露出補正ごとの紙の値(計算)

ここからは写真ではなく計算です。

カメラが画面の平均を反射率18%として写すと置き、紙の反射率は90%、画像の値はsRGBの式で求めました。

画面がほぼ紙の場合と、紙の半分に濃い色の服(反射率5%と仮定)を置いた場合を比べています。

露出補正と白い紙の値の計算。画面がほぼ白い紙なら±0で118、+1で162、+2で221。紙の半分に濃い色の服を置くと±0で158になり、+1.55で255に届く
見てほしいのは、同じ紙でも濃い色の服を置くと、255に届く補正が1段近く小さくなるところです

画面がほぼ紙なら、紙の値は露出補正なしで118、+1で162、+2で221です。

紙が255に届くのは+2.47からです。

濃い色の服を置くと画面の平均が下がるため、カメラは全体を明るく写し、紙は補正なしでも158になります。

この場合、紙が255に届くのは+1.55からです。

何をどれだけ画面に入れたかで、必要な補正が1段近く変わる計算です。

実際のカメラは機種や測光モードで明るさの決め方が変わるので、この値は試し撮りを始めるときの目安として使ってください。

影の所の紙は255になりにくい

次に、紙の明るい所がちょうど255になる露出で、影になって光が減った所の紙の値を計算しました。

影の所の紙の値の計算。明るい所の紙が255になる露出では、光80%の所が231、70%が218、50%が188、25%が137。そこから+1EVすると光50%の所まで255になる
見てほしいのは、光が半分の所は188で、+1EV上げてやっと255になるところです

紙の値は、光が80%の所で231、50%の所で188、25%の所で137です。

光が50%の所まで255にするには、露出をもう+1上げる必要があります。

このとき、反射率45%以上の服は255に張り付く計算です。

白い服は反射率が高いので、影を露出で消そうとすると、生地の質感が先に消えます。

紙の端まで同じ明るさの光を当てておくと、後の仕上げで直す所が減ります。

楽天の白背景は82%が255ちょうど

アパレルの商品撮影で撮るカットと枚数で数えた、楽天ファッションと楽天市場の上位115商品・2,049枚の背景の値も調べました。

背景の値は画像の縁の帯の中央値で、3色のうち最も高い値が238以上で3色の差が10以下のものを白い背景としています(自社環境での計測値(条件: 2026-10-04に取得した画像))。

楽天の上位115商品の画像2,049枚の背景の値。白い背景341枚のうち、255ちょうどが281枚で82.4%、245〜254が19枚で5.6%、238〜244が35枚で10.3%、237以下が6枚で1.8%。薄いグレーの背景は177枚で値の中央値226
見てほしいのは、白い背景の8割以上が3色とも255ちょうどだったところです

白い背景は341枚あり、そのうち281枚(82.4%)は3色とも255ちょうどでした。

238〜244の、目では白く見えても255に届いていない背景は35枚(10.3%)です。

服だけを写した平置き・ハンガー・トルソー・ゴーストの画像161枚では、白い背景が68枚(42.2%)ありました。

モデル着用の画像1,355枚で白い背景だったのは118枚(8.7%)です。

撮影だけで紙を255にすると白い服が飛びやすいので、255ちょうどの背景の多くは撮った後の処理で白くしていると考えられます(推測)。

撮った後に白くする2つの方法を比べた

条件

試した写真は、codexで生成した架空のサンプル2枚です。

試した写真2枚。くすんだ青のTシャツは背景が178、白いシャツは背景が約170。どちらも白い紙がグレーに写った状態
見てほしいのは、どちらも白い紙のつもりが170〜178の灰色に写っているところです

1つ目の方法は、画像全体の明るさを上げる方法です。

当社アプリの「明るさ」と同じ式(Photoshopの「明るさ・コントラスト」を測って合わせた曲線)で、+50・+100・+150を当てました。

2つ目は、背景だけを白くする方法です。

背景の明るさのムラを面で近似し、それに近い色で色みの少ない画素を候補にして服の輪郭で止め、画像の縁からつながる範囲を255で塗りました。

比べるために、露出を+1と+2にして撮った場合も、撮った画像をリニアに戻して2倍・4倍する計算で再現しています。

背景の値は判定した背景の内側、服の値は服の内側で測りました(自社環境での計測値(条件: 1254×1254の画像、境目から6px内側だけを使用))。

全体の明るさを上げると服の色が先に変わる

くすんだ青のTシャツに明るさ+50・+100・+150を当てた結果。背景は178から218、240、251。服の平均はそれぞれ+29〜+42、+66〜+80、+109〜+116上がった
見てほしいのは、+150でも背景が251止まりで、服のくすんだ青が水色に変わったところです

Tシャツでは、+150で背景は251まで上がったものの、255には届いていません。

その間に服の平均は109〜116上がり、くすんだ青が水色に変わっています。

白いシャツに明るさ+100・+150を当てた結果。背景は約170から約237、約250。シャツの濃淡は26.9から14.1、6.5に減った
見てほしいのは、+150でシャツのしわと縫い目がほとんど見えなくなったところです

白いシャツでは、差がもっとはっきり出ました。

明るさの曲線は明るい値ほど早く255に近づくため、背景より明るいシャツが先に白一色に近づきます。

シャツの濃淡は26.9から6.5まで減り、しわや縫い目が見えにくくなりました。

露出を上げて撮った場合(計算で再現)

白いシャツの写真を露出+1と+2で撮った場合の計算による再現。背景は約170から約230、255。シャツで255になった画素は0%から59%、94%
見てほしいのは、+2で背景が255になると同時に、シャツのほとんどが255になったところです

露出+2の再現では背景が255になった一方で、シャツの画素の93.6%も255になりました。

255に張り付いた部分は、後から暗くしても生地の模様が戻りません。

背景だけ白くすると服の値は変わらない

2枚の写真に7通りの処理をした結果の表。背景だけ白くした場合は、Tシャツも白いシャツも背景が255になり、服の変化は±0、白いシャツの濃淡は26.9のまま
見てほしいのは、背景が255になって服が変わらなかったのは、背景だけ白くした行だけだったところです

背景だけを白くした写真では、2枚とも背景が255になり、服の範囲の値は変わっていません。

ただし、服のすぐ下に落ちた影は服とつながっているため、背景と分けられずに残っています。

Tシャツの裾を3倍に拡大した比較。撮ったままの写真では裾の下に影があり、背景だけ白くした写真では背景が255になったが、影の帯が服の側に残った
見てほしいのは、背景が白くなったぶん、裾の下の影の帯がかえって目立つところです

服の形で切り抜く方法なら、影も背景と一緒に外せます。

切り抜いたときに服の縁がどう残るかは、背景透過AIを服の縁で比較した記事で試しました。

Amazonのメイン画像は背景が255と決まっている

Amazonのセラーセントラルの商品画像のガイドは、メイン画像の背景を純白(RGB 255, 255, 255)と定めています。

目で白く見える背景がどれだけ255になっているかは、Amazonの服のメイン画像を13枚測った記事で確かめました。

モールごとの画像の大きさは、ECモールの商品画像サイズを実測した記事にまとめています。

撮る前の確認

白背景で撮る前の確認5項目。紙の端まで光が届いている、服の縁に濃い影が出ていない、白い服の生地の質感が見える、背景の値をスポイトで測った、出品先の背景の決まりを見た
見てほしいのは、背景の値を目ではなくスポイトの数字で確かめるところです

試し撮りした1枚を画像編集ソフトで開き、背景の何か所かの値をスポイトで見ておくと、影の残り方が数字でわかるのでおすすめです。

平置きで撮るときの影と光の置き方は、服の平置き撮影のコツを1つずつ変えて検証した記事で紹介しています。

まとめ

白い紙が灰色に写るのは、カメラが画面の平均を反射率18%のグレーとして写すためです。

画面がほぼ紙なら、紙を255にするには+2.5近い露出補正が要る計算です。

影の所まで露出で白くしようとすると白い服が先に飛ぶので、光をそろえて撮り、背景だけを後から255にしてください。

楽天の上位商品でも、白い背景の82.4%は255ちょうどでした。

よくある質問

参考リンク

#商品撮影#白背景#服の撮り方#露出補正#アパレルEC