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アパレルECとは|市場規模とEC化率を経産省の調査10年分で数えた

セントラルオフィス編集部公開日 約13分で読めます

スマートトリミングAIを開発している株式会社セントラルオフィスです。

服をネットで売り始めるときや店の売り方を見直すときに、服のネット販売がどれくらいの大きさで、今も伸びているのかを確かめておきたい方も多いのではないでしょうか。

その数字は、経済産業省が毎年まとめている電子商取引に関する市場調査に、「衣類・服装雑貨等」の行として載っています。

ただ、最新の1年分だけを見ても、伸びている途中なのか、伸びが落ち着いたあとなのかは分かりません。

2020年に大きく増えたという話も、その後どうなったのかと合わせて見ないと、これから始める店の見込みには使いにくいはずです。

そこで、2014年分から2024年分までの報告書11冊を開き、衣類・服装雑貨等の市場規模とEC化率を1年ずつ並べて、物販のほかの分類とも比べました。

これから服をネットで売る方や、売り方を見直したい方は参考にしてください。

モールひとつの10年の動きは、ZOZOTOWNの売上推移で決算短信から数えています。

結論:伸びに頼らず7工程の手間と費用で決める

結論から言うと、アパレルECは2024年に2兆7,980億円まで育ち、伸びが緩やかになった市場です。

2014年の1兆2,822億円から2.2倍に増えたものの、2023年と2024年の前年比はどちらも4.7%台にとどまっているからです。

経産省の数字で見たアパレルEC。2024年の市場規模は2兆7,980億円で物販8分類で2番目。2024年のEC化率は23.38%で、4分の3以上はEC以外。2014年からの伸びは2.2倍で、直近2年は前年比4.7%台。伸びに頼らず、7工程の手間と費用で決める
見てほしいのは、10年で2.2倍になった伸びが直近2年は4.7%台に落ち着いていること

ここで言うアパレルECは、服や靴・鞄・アクセサリーを、企業が消費者にネットで売る取引のことで、経産省の分類では「衣類・服装雑貨等」にあたります。

物販8分類で見ると、その大きさは食品・飲料・酒類に次ぐ2番目です。

それでもEC化率は23.38%にとどまり、服や服装雑貨の買い物の4分の3以上は、今も店頭などネット以外で行われています。

なので、市場の伸びに期待して始めるより、仕事の流れの7工程のどこを自分でやり、どこを外に頼むかを決めて、手間と費用を先に見積もるのがおすすめです。

  1. 7工程を書き出す:企画・生産と仕入れ・撮影とささげ・売る場所・商品ページ・在庫・物流
  2. 外に頼む工程は、公開されている料金表から総額を出す
  3. 自分でやる工程は、1型あたりに何をどれだけ作るかを数える

工程ごとの料金や作業量は、この記事の後半で、数えた記事を工程の順に案内しています。

数え方:経産省の報告書11冊から衣類の行を拾った

数えたのは、経済産業省「電子商取引に関する市場調査」の、平成26年度から令和6年度までの報告書11冊です。

各冊の物販系分野の表から「衣類・服装雑貨等」と合計の行を拾い、2014年から2024年までの市場規模とEC化率を並べました。

最新は2025年8月26日に公表された令和6年度の報告書で、2025年分を扱う令和7年度の調査は、2026年10月7日の時点で経産省の一覧に載っていません。

拾った値は、翌年の報告書に載った同じ年の値とも1つずつ突き合わせています。

2014年から2023年まで、後から直された年は1つもありませんでした。

数える前に確かめておきたいのが、この分類に何が入っていて、何が入っていないかです。

衣類・服装雑貨等には、服のほかに靴・鞄・宝飾品・アクセサリー・子供服・スポーツ用品も入ります(令和6年度報告書 p.56)。

一方で、フリマアプリなど個人どうしの売り買いと、海外の店から買う輸入は、この市場規模に含まれません(同 p.14〜15)。

EC化率は、電話や対面の取引も含めた商取引全体のうち、ECが占める割合を指します(同 p.16)。

市場規模は10年で2.2倍になり伸びは緩やかに

まずは、2014年から2024年までの11年分を1枚に並べました。

衣類・服装雑貨等のEC市場規模(億円)とEC化率。2014年12,822・8.11%、2015年13,839・9.04%、2016年15,297・10.93%、2017年16,454・11.54%、2018年17,728・12.96%、2019年19,100・13.87%、2020年22,203・19.44%、2021年24,279・21.15%、2022年25,499・21.56%、2023年26,712・22.88%、2024年27,980・23.38%
見てほしいのは、EC化率の線が2020年だけ大きく跳ねていること

2014年に1兆2,822億円だった市場規模は、2024年には2兆7,980億円まで増えました。

EC化率も、8.11%から23.38%まで上がっています。

2019年までは、市場規模が毎年1,000億円以上ずつ増え、EC化率は毎年2ポイントに届かない幅で上がる、なだらかな伸びでした。

2020年の跳ね上がりは分母が縮んだ分も含む

流れが変わったのは2020年です。

市場規模は前年から16.25%増えて2兆2,203億円になり、EC化率は13.87%から19.44%へ、1年で5.57ポイント上がりました。

ところが、この上がり幅は、ネットで売れた分が増えたことだけで出たものではありません。

令和2年度の報告書は、2020年は服や服装雑貨への支出の総額が減り、EC化率の分母が小さくなったために、結果として率が大きく上がったと説明しています(p.60〜61)。

なので、この1年の率だけを見て「服の買い物が一気にネットへ移った」と読むのは言いすぎです。

2023年と2024年の伸びは前年比4.7%台

跳ね上がりのあとも、市場規模は2021年に2兆4,279億円、2022年に2兆5,499億円、2023年に2兆6,712億円と増え続けました。

ただ、前年比は2023年が4.76%、2024年が4.74%で、2020年の16.25%には遠く及びません(令和6年度報告書 p.48)。

EC化率も、2021年の21.15%から2024年の23.38%まで、3年かけて2ポイントあまり上がっただけです。

報告書自身も、2020年と2021年に大きく伸びたあと、2022年以降は落ち着いて緩やかな伸びになったと書いています(同 p.56)。

伸び続けてはいるので、服をネットで売る場が縮んでいるわけではありません。

とはいえ、市場全体が年4.7%台でしか増えないなら、店の売上が市場の伸びにつられて増える分も小さいと見ておくのが現実的です。

物販8分類で衣類は2番目に大きくEC化率は4番目

伸び方の次は、ほかの物と比べたときの位置です。

2024年の物販8分類の市場規模とEC化率。食品・飲料・酒類3兆1,163億円・4.52%、衣類・服装雑貨等2兆7,980億円・23.38%、生活家電・AV機器・PC等2兆7,443億円・43.03%、生活雑貨・家具・インテリア2兆5,616億円・32.58%、書籍・映像・音楽ソフト1兆8,708億円・56.45%、化粧品・医薬品1兆150億円・8.82%、その他7,797億円・2.08%、自動車・二輪車・パーツ等3,336億円・4.16%。物販の合計は15兆2,194億円・EC化率9.78%
見てほしいのは、市場の大きさとEC化率で衣類の順位が違うこと

2024年の物販8分類で、衣類・服装雑貨等より大きいのは、3兆1,163億円の食品・飲料・酒類だけでした。

3番目の生活家電・AV機器・PC等は2兆7,443億円で、衣類との差は537億円しかありません。

ところが、EC化率で並べ直すと、衣類は4番目まで下がります。

書籍・映像・音楽ソフトが56.45%、生活家電・AV機器・PC等が43.03%、生活雑貨・家具・インテリアが32.58%で、衣類の23.38%はその下です。

物販全体のEC化率9.78%と比べれば2倍を超えているので、低いわけではありません。

ネットで売られる金額が大きい一方で、店で買われる割合もまだ大きいのが、服という分類の特徴です。

令和2年度の報告書も、店の強みとして、実物を手に取って質感やフィット感を確かめられることを挙げています(p.61)。

ネットで売る側に置き換えると、手に取れない分を商品ページの写真とサイズ表でどこまで伝えられるかが、店との差になります。

アパレルECの仕事は7つの工程に分かれる

市場の数字だけでは、自分の店が何に手間とお金をかけることになるのかは見えてきません。

そこで、服をネットで売る仕事を、企画から物流までの7つの工程に分けました。

アパレルECの仕事の流れ。1企画(何を何型つくるか)、2生産・仕入れ(作るか卸から買うか)、3撮影・ささげ(写真・採寸・原稿)、4売る場所(モールか自社ECか)、5商品ページ(画像とサイズ表)、6在庫(何日分を持つか)、7物流(保管・梱包・発送)
見てほしいのは、売る場所を決める前に撮影とささげの工程があること

下の記事は、どれも各工程の手間や費用を公開の数字から数えたもので、工程の順に並べました。

企画と生産・仕入れ

企画で何を何型つくるかを決めたあとの道は、自分で作るか、卸から仕入れるかの2つです。

撮影・ささげ

作った服も仕入れた服も、写真・採寸・原稿がそろわないうちは売り出せません。

売る場所

支払いの形はモールごとに違い、月額が要るモールもあれば、売れた分の手数料が中心のモールもありました。

商品ページ

画像の大きさや縦横比は、売る場所が決まらないと決められません。

在庫と物流

在庫で何日分を持つかは、物流で払う保管の費用にもかかわる決めごとです。

外に頼める工程の料金は、上の記事でそれぞれ公開の数字から数えました。

自分でやる工程と外に頼む工程を分けてから足し合わせれば、1型あたりにかかる手間と費用の見当がつきます。

この数え方で分からないこと

並べた数字は、日本全体の合計です。

小さな店がネットでどれだけ売れるかは、この調査からは分かりません。

衣類だけの数字も出ていないため、靴・鞄・アクセサリー・スポーツ用品を含んだ値として読む必要があります。

フリマアプリなど個人どうしの売り買いは、令和6年度の報告書が全体で2兆5,269億円と推計しているものの、衣類の内訳は載っていません(p.70)。

返品率も、報告書の衣類の節には書かれていません。

2025年分は、2026年10月7日の時点でまだ公表されていないので、この記事の最新は2024年の数字です。

まとめ

アパレルECは、2024年に2兆7,980億円、服や服装雑貨の買い物の23.38%を占める市場で、物販8分類では食品・飲料・酒類に次ぐ大きさでした。

2014年から2.2倍に増えた一方で、2020年の跳ね上がりには分母の縮小も含まれ、2023年と2024年の伸びは4.7%台に落ち着いています。

なので、これから服をネットで売るなら、市場の伸びを当てにするより、7工程のどこを自分でやり、どこを外に頼むかを決めて、手間と費用を先に見積もるのが現実的です。

外に頼む工程の料金は、仕事の流れの節で挙げた記事に、公開の数字から数えてあります。

自分の服のブランドを立ち上げるところから始める方は、アパレルブランドの立ち上げ手順を参考にしてください。

よくある質問

参考情報源

#アパレルEC#市場規模#EC化率#経済産業省#ネット販売